アジャイルプロセスとプロジェクトファシリテーションの関係

プロジェクトファシリテーション(Project Facilitation : PF)は、生みの親である平鍋健児氏がアジャイルプロセスを普及させるために色々と考えていて創り出したと語っている。
ファシリテーションアジャイルプロセス+トヨタ生産方式などをベースに考え組み立てられている。
もちろんプロジェクトファシリテーションの考え方の原点はここにあるが、その価値や原則の性質上プロジェクトファシリテーションも変化している。

アジャイルプロセスでは、変化に柔軟に対応し本当に求められるものを作り出すことに重きを置いている。
何年か前に計画され陳腐化したものを制約に縛られて作る、そんな誰にとってもアンハッピーなことをしなくてすむように。
この変化に適応すると言う点は、アジャイルでもプロジェクトファシリテーションでも、プロジェクトチームの「場(Ba)」や仕事の状況や様子を、どれだけ小さな時間間隔で捉えるかで変わってくる。


たとえばコミュニケーションの質は、「意味」的要素と「感覚・感情」的要素を持っている。多くの場合、情報の伝達する目的で文字情報に置き換えることで「感覚・感情」の部分を欠落させてしまう。
対面(Face to Face)のコミュニケーションやプロジェクトチームの「場(Ba)」から何かを感じ取ると言うのは、この情報の欠落を起こさないためにきわめて重要である。また、決してこれは文字情報が不要であると言うことではなく、欠落をさせないための対策が必要であると言うことである。
アジャイルアンチパターンとして、「ドキュメントは一切不要である」という極論があるが、アジャイルでは必要なものを必要な形で必要な分だけ必要な時に作るということになる。

先のコミュニケーションの要素と重ねれば、意味的伝達を必要としその情報の正確性が重要であるならば、当然文面として残されるべきであると言える。もう少し補足をするとすれば、その文面の生存期間も重要となる。
(プログラムを作成するのに必要な情報であればその多くは一時的なものでありプログラムの完成と共にその役目を終え、その責務はプログラムコードに委譲されるというようにも考えることが出来る)

アジャイルプロセスとプロジェクトファシリテーションは、既にニワトリが先かタマゴが先かというくらいに近しい状態にある。
小さな行動とフォードバックのループを小さく繰り返すイテレーティブな点は共通であるし、ビジョンに対する効果を最大化しようとする点でも同じである。
特性として、計画よりも行動のほうをまず行ってからと言う点は両者に共通する点であるが、計画をしないということではないことを付け加えたい。
完璧な計画をすることに囚われ行動が起きないことよりも、小さな計画を実行に移すことをよしとすると言うことである。
その行動の勇気の源は変化を許容しているその姿勢に他ならない。
プロジェクトファシリテータも、もともと完璧な正解が存在しないところで、いかに有効な行動を起こせるかと言うことである。

アジャイルプロセスの中には、XP(eXtreme Programing)のようにより実践的なプラクティスについて語られているものや、Scrumのようにプロジェクトマネジメントについて語られているものがある。
実践的なものはその効果など最大化させつつプロジェクトに導入し運営するか、マネジメント的なものはプロジェクトファシリテータの行動や在り方の指針として用いられこととなる。